【ポーカー×音楽】駆け引きを歌にする!SOGさんの挑戦に迫るインタビュー

SOGさんインタビュー

ポーカーの駆け引きや感情を「歌」にする。そんな活動を続けているのが、SOG POKER SONGSを手がけるSOGさんです。

長年の音楽リスナーとしての耳と、AIという新しいツールを掛け合わせ、ポーカーの物語を1曲ずつ形にしています。

今回は、絵やデザイン、音楽に親しんできたSOGさんの原点からポーカーとの出会い、「ポーカー×音楽」が生まれた背景、そしてAIとの共同制作の裏側までたっぷり伺いました。

目次

SOGさんのプロフィール

SOGさん

SOGさんは、ポーカーをテーマにした楽曲プロジェクト「SOG POKER SONGS」の制作者です。

子どもの頃から絵を描き、DJカルチャーやデザインに親しんできた経験と、AIという新しい道具を掛け合わせて楽曲を制作しています。

名前SOG
主な活動・SOG POKER SONGS(楽曲制作)
・GRACE CIRCLES(ポーカーコミュニティ)
制作ツールSuno(音楽生成AI)ほか、複数AIを併用
YouTubeSOG POKER SONGS

絵と音楽とデザイン
— SOGさんの原点

絵とデザインが好きだった
少年時代

まずはSOGさんご自身のことからお聞きしたいのですが、子どもの頃はどんなことに夢中でしたか?

子どもの頃から絵を描くことが好きで、漫画では鳥山明さんの『ドラゴンボール』をずっと真似して描いていました。

ファッションやデザインにも興味があり、ビジュアルや世界観を自分なりに表現することが好きでした。

音楽を作るより、聴いてきた人

音楽には、どのように親しんできたのでしょうか?

高校生になると、Hip HopやテクノなどのDJカルチャーに興味を持つようになり、渋谷までレコードを買いに行って、弟とターンテーブルで遊んでいました。

特にUKのダンスミュージックや日本語ラップに影響を受け、音楽そのものだけでなく、レコードジャケットやグラフィックにも惹かれていったんです。

音楽を聴くだけでなく、ご自身で演奏や作曲をすることもあったのでしょうか?

バンドをやっていたわけでも、音楽をアカデミックに勉強していたわけでもありません。楽器も何ひとつ弾けません(笑)。

MacでDTMソフトを触って遊んだことはありますが、本格的に作曲を学んだ経験はなくて。僕の場合は「音楽を作ってきた人」というより、ずっと「音楽を聴いてきた人」なんです。

振り返ると、今のSOG POKER SONGSも、昔から好きだった「音楽」と「絵」「デザイン」が、ポーカーと組み合わさって生まれたものなのかもしれません。

ポーカーとの出会い
— フレマ年間550回の日々

引用:SOGさんのX

アプリから始まった1000日

ポーカーを始めたきっかけを教えてください。

2023年12月に、現在のGRACE CIRCLESのメンバーでもあるTKと久しぶりに会ったんです。

その時に「テキサスホールデムっていうポーカーのゲームがあって、今めちゃくちゃハマってるよ」と聞いて。年末年始の休みにアプリを入れて遊び始めたのが最初です。

特にハマったのが、アプリとXを通じたコミュニケーションですね。
「勝った!」「負けた……」「FT行った!」みたいな投稿をしていると、全国の、それまで面識のなかった人たちとポーカーを通じてつながっていく。

そこから毎晩のようにオンラインのフレンドリーマッチ(フレマ)に参加するようになりました。

フレマの参加回数をExcelで記録しているそうですね。

TKが集計してくれたんですが、2025年は年間550回、2026年もすでに300回を超えています。
……改めて数字にすると、ちょっと狂ってますね(笑)。

でも、それくらい毎日のようにポーカーをやって、知らない人たちと交流して、少しずつコミュニティができていったことが、今のGRACE CIRCLESやSOG POKER SONGSにつながっていると思います。

「カードを使ったプロレス」だと思っている

SOGさんが感じるポーカーの一番の魅力はどこにありますか?

性別も年代も、これまでの経験も全然違う人たちが、同じルールのテーブルに座って一つのゲームでぶつかる。

しかもポーカーは不完全情報ゲームなので、どんなに強いプロでも負けることがあるし、逆に初心者がものすごい勝ち方をすることもある。
その「完全にはコントロールできない感じ」も含めて面白いんです。

だから僕は、ポーカーをよく「カードを使ったプロレス」みたいだと思っています(笑)。

強いハンドで勝つだけじゃなくて、相手との駆け引きや、ブラフ、読み合い、見せ方まで含めて一つのエンターテインメントになる。
そういう人間くさくて、ちょっとドラマがあるところが、僕がポーカーにハマっている理由です。

SOG POKER SONGSの誕生
— ポーカーを歌にするという発想

SOG POKER SONGS

「これって全部ストーリーになるんじゃないか?」

ポーカーを題材にした曲を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

ポーカーを始めてから、気づけばかなり濃密な1000日を過ごしてきました。

ありがたいことにいろいろなコミュニティに誘っていただく機会も増えていたんですが、ふと「自分の力でポーカーをもっと盛り上げることはできないかな」と思うようになったんです。

ポーカーには勝ち負けだけじゃなくて、駆け引きや、ブラフ、逆転、悔しさ、興奮がある。
「これって、全部ストーリーになるんじゃないか?」
そう思ったのが最初です。

そしてAIを使えば、音楽の専門家ではない自分でもそれを形にできる。
そこで、「誰もが口ずさめる日本語のサビを持ったポーカーソング」というコンセプトが生まれました。

目指しているのは、単なるポーカーの説明ソングではありません。

欧州のサッカースタジアムでサポーターが大合唱しているような応援歌だったり、聴いているうちに自然と身体が動いてしまうようなダンスミュージックだったり。ポーカーを知らない人が聴いても楽しめて、知っている人なら「これ、あの場面だ!」とニヤッとできる。
それが「SOG POKER SONGS」の始まりです。

最初の1曲「最後のセミブラフ」

最後のセミブラフ
引用:SOGさんのX
最後のセミブラフを聴いてみる

最初に完成したポーカーソングは、どんな曲でしたか?

MTT(トーナメント)の終盤をテーマにした「最後のセミブラフ」です。

ブラインドが上がっていって、どこかでは勝負しないといけない瞬間が来る。僕はそれを「ぶつかり稽古」と呼んでいるんですけど、その場面での自分の勝率がかなり悪いんですよ(笑)。

その複雑な感情を、僕が普段カードプロテクターとして使っているメキシコの「死者の日」のガイコツ、カラベラをキャラクターにして歌わせてみました。

「死者の日」って、ガイコツになった死者たちも楽しく生きているという独特の世界観がある。もう、ポーカーで飛んでも楽しもうと(笑)。

この最初の曲を作ったことで、「ポーカーって、こんなふうに歌にできるんだ」と自分自身が気づきました。

ポーカーの戦略や用語をそのまま説明するのではなく、自分たちが実際に経験している感情や”あるある”を、ちょっと変なキャラクターや音楽に変換する。

そこに、ポーカーソングとしての可能性を感じましたね。

YOUR MOVE 3部作
— 「読む。揺れる。仕掛ける。」

YOUR MOVE
引用:SOGさんのX
YOUR MOVE -TILT-
引用:SOGさんのX
YOUR MOVE -RAISE-
引用:SOGさんのX

楽曲のインスピレーションは、どこから得ることが多いですか?

YouTubeチャンネルにアップしている10曲のうち7曲は、GRACE CIRCLESのメンバーをベースにテーマを設定するところから始めています。

いきなり歌詞を書くというより、まず「この人を題材にするなら、どんな世界観が面白いだろう?」と考えて、ジャケットのビジュアルをイメージする。

そこから、そのビジュアルに合うストーリーや歌詞、曲の方向性を決めていく感じです。

その中でも「YOUR MOVE」は3部作にしています。
YOUR MOVE → YOUR MOVE -TILT- → YOUR MOVE -RAISE- という流れで、コンセプトは「読む。揺れる。仕掛ける。」です。

ポーカーはカードだけで勝負するゲームではないと思っていて、相手の表情や間、ベットの仕方、そして自分自身の心の揺れ。
そういうものも含めた「駆け引き」を、3曲を通したストーリーとして描きました。

一方で、「もう一枚だけ / One More Card」はまた違う切り口で、ポーカーの戦略を説明するというより、ポーカーを楽しんでいる「場の空気」をさらっと聴いてもらえるような曲です。

テーブルを囲んで、カードが配られて、みんなで笑ったり、盛り上がったり、ちょっと悔しがったり。僕の中では「風景」みたいなイメージがあります。

AIを相棒にした楽曲制作の裏側

Sunoをはじめ、複数のAIを「チーム」として使う

楽曲制作にはどんなAIツールを使っているのですか?

メインで使っているのはSunoという音楽生成AIです。歌詞とプロンプトを入れると、歌入りの楽曲をまるごと生成してくれる。

ただ、Sunoだけで完結しているわけではなくて、複数のAIをチームのように使い分けているんです。

歌詞を考える担当、音楽を作る担当……それぞれに役割を持たせて、壁打ちしながら進めていく感じです。

同じAIでも、使い方を変えているということですか?

そうです。同じAIでもできるだけ役割や「偏り」を持たせるようにしています。

例えば歌詞を考えるときのAIには、僕の好きな言葉の響きやフロウの感覚を繰り返し伝えていく。

すると、だんだん「SOGさんならこういう言い回しが好きでしょ?」というところまで早くたどり着いてくれるようになるんです。
AIに自分の音楽性を「染み込ませていく」感覚ですね。

「もう一枚だけ」ができるまで
— プロンプトの実例

もう一枚だけ
引用:SOGさんのX

具体的に、1曲がどのようなプロセスで完成するのか教えてください。

「もう一枚だけ / One More Card」を例にすると分かりやすいと思います。

この曲は、ポーカーの楽しさを映画のワンシーンのように切り取ることをテーマにしました。

最初から「ポーカーについて歌を作ろう」ではなく、まず頭の中でシーンを作るんです。

テーマ、映画のシーンコンテ、ストーリー、歌詞、曲の構成。そこまで自分で決めてからSunoに投げていきます。

フックも「もう一枚だけ」にするのか「まだ降りないで」にするのか、実際に聴きながら比較して決めました。
この曲では、テーブルを囲んでいる人たちがゆるく会話しているようなフックにしたかった。

Sunoに投げるプロンプトは、どんな内容なのでしょうか?

「ラップは禁止」「強いビートは禁止」「歌い上げすぎない」「会話しているような感じ」みたいな、一見すると音楽制作の指示なのかよく分からないものも入れています(笑)。

さらに「オルタナティブR&B、インディーダンス、エレクトロロックを融合」「ミックスは少しラフでスタイリッシュに」「テンポは120〜124 BPM」……と、思いついたことを散文でとにかく投げる。
人間が見たら「結局、何を作りたいの?」と思うような指示だと思います(笑)。

音楽→ビジュアル→音楽
— AI同士を行き来させる制作フロー

1曲を仕上げるまでに、どのくらい試行錯誤するのでしょうか?

1曲を作るために似た曲を10曲くらい試して、少しずつ解像度を上げていくような感じですね。

ここで面白いのが、音楽AIとビジュアルAIを行ったり来たりするプロセスです。
できたベース曲を聴きながらジャケットのビジュアルを画像生成AIで作り、そのビジュアルから感じた世界観を、今度はSunoへのプロンプトに落とし込んでリミックスする。

音楽からビジュアルが生まれて、そのビジュアルからまた音楽のアイデアが生まれる。
そこを行ったり来たりしながら、作品全体の解像度を上げていくんです。

AIの「足し算」は簡単。
難しいのは「引き算」

AIを使った制作で、一番難しいと感じるのはどこですか?

面白いことに、最後に目指しているのはすごくシンプルなものなんです。
いろいろ試した結果、「これ、シンプルだけどめちゃくちゃ残るな」というところまで削っていく。

AIでいろいろなものを足すのは比較的簡単。でも、そこから何を残して、何を捨てるか。

その引き算をしながら、自分の理想に近づけていくところが一番難しくて、同時に面白いところです。

僕は「AIに曲を作ってもらっている」という感覚とは少し違うんです。むしろ、AIじゃないと作れない曲を目指している。

人間が普通にDTMで一曲ずつ作っていたら、ここまで大量に試して、壊して、戻して、また試すということはなかなかできない。
AIを使うことで、その試行錯誤の回数を一気に増やせるんです。

何度やり直しても怒らない
「最強の制作パートナー」

SOGさんにとってAIは、どんな存在なのでしょうか?

何より、僕のかなりわがままなディレクションに付き合ってくれるAIたちには感謝しています(笑)。

「やっぱり違う」「もう一回」「ここだけ変えて」「でも前のほうがいい」みたいなことを何度繰り返しても付き合ってくれる。
人間相手だったら、たぶん途中で嫌われます(笑)。

だから僕にとってAIは、単に音楽を自動で作ってくれるツールというより、自分の「こうしたい」を何度でも試させてくれる制作パートナーなんだと思います。

指示した通りのものが上がってこないときは、「自分の音楽性に対するAIの偏りがまだ弱いんだな」と考えて、好きな音の方向性をさらに伝えていく。

そうすると、だんだん「こういう感じでしょ?」というところまで早くたどり着いてくれるようになりました。

AIがあったからこそ、SOG POKER SONGSが生まれた?

間違いなくそうですね。楽器が弾けない、でも「頭の中に鳴っている音」がある。
以前なら、それを形にする手段がなかった。

でも今は、AIに散文的にでもイメージを伝えれば、それに近い音が返ってくる。ただ新しい音を作るだけではなくて、少し哀愁のあるストーリーを入れたり、「どこかで聞いたことがある」と感じるような懐かしさを入れたりもする。新しいのに、なぜか知っている。そういう感覚を狙うのも好きですね。

「ダサかっこいいPOSITION」が理想

歌詞を書く際に一番こだわっているポイントを教えてください。

何よりこだわっているのが、日本語で口ずさめることと、自然にリズムを取りたくなることです。

全部を英語にすればカッコよくはなるんですけど、それでは僕がやりたいことの目的を達成できない。

日本語の言葉がちゃんと耳に残って、気づいたら口ずさんでいる。それでいて、少し「ダサいんだけど、なんかカッコいい」という感じが欲しい。

僕の中では、「ダサかっこいいPOSITION」くらいがマストなんです(笑)。

もちろん、プロのミュージシャンが本気でポーカーソングを作ってくれるなら、僕はすぐ引退するかポジションを変更します(笑)。
でも、グラフィックに関しては負けませんよ(笑)。

心が動いて、身体が動いて、
そのあとにポーカーの物語が見えてくる

「ポーカーの曲」だからこそ意識しているサウンドや雰囲気はありますか?

僕が思う「ポーカーらしい音」は、カードの音やチップの音ではないんです。むしろ、カードを通した心と心の触れ合い、コミュニケーションなんじゃないかなと。

相手を読む。仕掛ける。受ける。迷う。強がる。喜ぶ。悔しがる。
テーブルで起きている喜怒哀楽の全部が、僕にとっては「ポーカーらしい音」です。

だから最終的には、カラダが自然に動くダンスミュージックでありたい。

頭で「これはポーカーの曲だ」と理解する前に、まず音楽として身体が反応する。そこに、歌詞を聴いてみると「これ、ポーカーの話じゃん」と気づく。心が動いて、身体が動いて、そのあとにポーカーの物語が見えてくる。それが理想です。

52曲の物語
— ポーカーをエンタメにする

4枚のカードに込めた4つの入口

初めてSOGさんの曲を聴く方に、「まずこれを」というおすすめはありますか?

まずこの4曲を聴いてもらえたら、どこかには刺さるんじゃないかなと思っています。

「最後のセミブラフ」は、SOG POKER SONGSの原点。だからスペード。「YOUR MOVE」は、ポーカーの駆け引きを描いた曲で、ちょっと恋愛にも似ている。これはハート。「POSITION」は、ポーカー用語を入れながらゆるく戦略を学べる曲。ダイヤ。

そして「もう一枚だけ / One More Card」は、ポーカーを知らない人にも入ってきてもらえる曲。クローバーですね。

トランプの4つのスートみたいに聴いてもらえたら嬉しいです。
それぞれ違う入口だけど、全部ポーカーにつながっている。
その中のどれか一枚でも「なんか好きだな」と思ってもらえたら、そこから他の曲も聴いてもらいたいですね。特に歌詞。

みんなでポーカーをエンタメにしていく

最後に、今後の目標やビジョンを聞かせてください。

まずは、52曲を完成させたいですね(笑)。
せっかくトランプには52枚のカードがあるので、1枚1枚に違うポーカーの物語を乗せていく。そこはSOG POKER SONGSとして大きな目標にしています。

ポーカーソングにしたいネタ自体は以前からかなり貯めているので、「次はどんなカードが出てくるんだろう」と思ってもらえるような展開にしていきたいですね。

僕は、日本には日本でしかできないポーカーエンタメがあると思っています。

ギャンブルでもない。スポーツでもない。
その間にある、人と人の駆け引きや喜怒哀楽、物語まで含めて楽しめる「エンタメ」としてのポーカーを、もっと作っていきたい。
僕はそのひとつとして、ポーカーを音楽にしています。

ぜひ皆さんも、それぞれのやり方でポーカーをエンタメにしてください。
音楽でも、イベントでも、コミュニティでもいい。
みんなで面白くしていきましょう。

ポーカーの喜怒哀楽を、歌に変える

絵を描き、サッカーに打ち込み、渋谷でレコードを掘り、ヨーロッパを一人旅した。
そうした経験のすべてが、ポーカーと組み合わさって生まれたのがSOG POKER SONGSです。

「ポーカーはカードを使ったプロレス」という言葉が象徴するように、SOG POKER SONGSが描くのは戦略の解説ではなく、テーブルで生まれる人間ドラマそのものです。

トランプ52枚分の物語はまだ始まったばかり。次はどんなカードが飛び出すのか、SOG POKER SONGSの展開に注目です。

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この記事を書いた人

元アミューズメントカジノディーラー。イベント企画会社で培った進行・段取り力を活かし、現在はライトスリー編集部のライターとして活動中。ディーラーとして通算数万ハンドの進行に携わった経験から、ルール適用やテーブルマナー、初心者へのレクチャーに精通。プレイヤーとしても実戦と研究を重ねており、現場の実務知と打ち手としての視点を融合させた「リアルで再現性の高い情報」を届けている。

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