2026年のWSOP「$10,000 MAIN EVENT NLH World Championship」で、長見恭輔(Kyosuke Nagami)さんが9,208エントリー中23位となりました。
獲得した賞金は約5,200万円。
長見さんは、10,112エントリーが集まった2024年大会でも21位となっており、2度目のDAY 7進出を果たしました。
今回のインタビューでは、負けず嫌いだった少年時代やリクルートでの新規事業開発、ポーカーとの出会い、2024年以降に起きた変化、そしてWSOP 2026メインイベントでの7日間について伺いました。
長見恭輔さんとは?

画像:SOMUCHPOKER
長見恭輔さんは、ライブポーカーを中心に活動するプロポーカープレイヤーです。
ポーカーを始める前はリクルートで新規事業開発を担当。
AIを活用した需要予測や数理最適化のプロダクトを立ち上げ、サービスのリリースから成長まで携わったといいます。
| 年 | 大会 | 結果 | 賞金 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | WSOP「$10,000 MAIN EVENT NLH World Championship」 | 21位 10,112エントリー | 約5,600万円 |
| 2026年 | WSOP「$10,000 MAIN EVENT NLH World Championship」 | 23位 9,208エントリー | 約5,200万円 |
※賞金は1ドル=約160円で換算した概算です。2024年の21位は、当時のWSOPメインイベントにおける日本人の歴代最高位でした。
WSOPメインイベントで2度の上位入賞を記録した背景には、長見さんが昔から続けてきた「負けた理由を振り返り、次に生かす」という習慣がありました。
人知れず練習する、負けず嫌いな少年時代

子どもの頃や学生時代は、どのようなタイプでしたか?

勝負事に関しては負けず嫌いで、コソ練するタイプでした笑
麻雀やゲームも、友人と遊ぶときは趣味として楽しんでいるように振る舞いながら、負けたら悔しいので家に帰ってからこっそり勉強したり練習したりしてましたね。

勉強は基本的にさぼっていましたが、好きな子から「賢い人が好き」と言われたことをきっかけに、数年間かなり勉強するなど、極端なところもありました。

好きな子の一言がきっかけとは、意外なエピソードですね笑
そこから数年続くというのがまた徹底しています。
昔から「勝つこと」や「考えること」が好きだったのでしょうか?

そうですね。
負けると「なぜ負けたのか」を突き詰めて考えるタイプで、振り返って次に生かすことは、趣味でも勉強でも仕事でも徹底していました。
リクルートで新規事業を開発──
0から事業を成長させた経験

ポーカーに出会う前、特に熱中していたことを教えてください。

仕事です。
当時はリクルートで新規事業開発を任され、AI技術を使った需要予測や数理最適化のモデルを組み込んだプロダクトを開発していました。

サービスのリリースから成長までを担い、良いプロダクトを作って、早く市場へ広げることに本気で取り組んでいました。
0から開発し、2〜3年で10億円規模の事業に成長させる過程には、ポーカーとは異なる面白さがありました。
周囲から見た人物像とMBTI
長見さんによると、周囲からは「人に興味がなさそう」「自分の道を進んでいそう」と言われることが多かったそうです。

そうした印象について、ご自身ではどう感じていますか?

人に興味がないというより、ポーカー中は過集中になり、脳のリソースをできるだけプレイへ割きたいんです。
トーナメント中に飲み会や遊びへあまり行かないのも、ポーカー以外でエネルギーを使わないようにしているからです。

ちなみに、MBTI診断は何タイプだったのでしょうか。

MBTIはISTP(巨匠)ですね。
ISTPは、物事を論理的かつ効率的に処理することを重視するタイプです。
興味を持った対象には深く没頭する一方、関心のない事柄や関係のない事柄には労力を割かない傾向があります。
彼の集中力の高さや、無駄を好まない行動スタイルには、こうした性格が現れていると言えるかもしれません。
ラスベガスでの出会いと、
ポーカーに向いていた性格
長見さんがポーカーに出会ったのは、2017〜2018年頃だそうです。
旅行先のラスベガスで、偶然ポーカーテーブルに座ったことが始まりでした。

初めてポーカーを面白いと感じたのは、どのような瞬間でしたか?

初心者でしたが、インターネットでセオリーを勉強しながらプレイしたところ、ビギナーズラックもあって大きく勝てました。
それをきっかけに、ポーカーへ強く惹かれました。

相手を読み切って勝つ瞬間が多いことと、学習したことが活かせてすぐに結果が出ることに面白さを感じました。
長時間の稼働と、プレイの質を保つメンタル

ご自身の性格で、ポーカーに向いていると感じる部分はありますか?

一つは稼働力です。
リクルート時代は平気で2日、3日と徹夜することもあったので、WSOPメインイベントのように長時間・長期間の稼働も全く疲れないところが強みです。

もう一つは、良い意味で細かなことを気にしない性格です。
メンタルの状態がプレイに影響しやすいゲームでも、同じ水準の判断を続けやすいことは向いているポイントかと思います。

なるほど。
長時間の稼働の中で疲労からティルトしてしまう方もいる一方、そのような疲れが出にくいのはポーカー向きの性格かもしれませんね。

そうですね。
メンタルの強さはもちろんですが、あとは負けず嫌いで、その悔しさを振り返りや座学に向けられる人はポーカーに向いていると思います。
ポーカーは知識とスキルを更新し続ける必要があるため、学ぶ意欲を保てる人は成長しやすいのではないでしょうか。
2024年のメインイベント21位入賞が
変えたもの
2024年、長見さんはWSOPメインイベントで10,112エントリー中21位となりました。
この結果を境に、活動の中心はキャッシュゲームからトーナメントへ移っていきます。

2024年のメインイベントをきっかけに、何か変化はありましたか?

大きく変わったのは、キャッシュゲームプレイヤーからトーナメントプレイヤーへシフトしたことです。
ポーカープレイヤーとしての活動のあり方を、改めて考えるきっかけにもなりました。

トーナメントで結果を出してしまったことで、分散が大きく・常に破産と隣り合わせのこのゲームの世界に放り込まれてしまいましたね笑

周囲からの見られ方なども意識するようになったのでしょうか。

そうですね。以前はSNSをほとんど使わず、表に出ずにキャッシュゲームをプレイしていました。
しかし、注目していただく機会が増えてからはポーカープレイヤーとして見られることを意識するようになりました。
同時に、YouTubeのVlogも始めたことで、良いプレイを届けるために勉強する時間も増えたと思います。
DAY 1から組み立てた、深いステージを見据えた戦略
2024年に得た経験は、2026年大会の入り方にも影響していました。

2024年の経験は、今回のメインイベントにどのようにつながりましたか?

少なくともDAY 7まで到達した日本人は片手で数えるぐらいしかいない中で、DAY 7までに至るにあたって、どのようなプレイヤープールになるのか、周りがどういう戦い方をしてくるのかを2度経験しているのは大きかったなと感じています。

今回は2024年と2025年の経験も踏まえ、DAY 1の段階から、後半のプレイヤープールを見据えて戦略を組み立てられたことが結果につながったと思います。
2024年の21位は、順位という記録以上に、長見さんの活動の形を変える転機になりました。
キャッシュゲームからトーナメントへ、表に出ない立場から発信する立場へ。そこで積み上げた経験が、2026年の戦いを支えることになります。
2024年当時の長見さんには、別のインタビューでも話を伺っています。

9,208エントリー中23位──
「ここで終わりか」と感じたラストハンド

今大会の賞金総額は約137億円。
その中で長見さんは日本勢のラストロンガーとして残り、DAY 7まで勝ち進みました。
ラストハンドは、長見さんの「J♦J♣」とダニエル・サバス(Daniel Savas)さんの「Q♥Q♦」による対決。
フロップの「K♣J♠3♠」で長見さんがセットを完成させたものの、ターンの「Q♣」でサバスさんがセットを作り、リバーの「2♣」で決着しました。

23位でのフィニッシュが決まった瞬間、どのような気持ちでしたか?

率直には、「ここで終わりか……。」という気持ちでした。
やはりFTを目指していたので、最後相手の「QQ」のセットが刺さったときは、「今年はここまでか、また来年以降も頑張ろう」という気持ちになっていたと思います。

日本勢のラストロンガーとして残ったことに、プレッシャーはありましたか?

特にありませんでした。
日本の皆さんが応援してくださっていることは分かっていましたが、ポーカーは個人競技です。
記録は気にせず、一つでも順位を上げることに集中していました。
カードが来ないDAY 6で選んだ
「費用対効果の高いブラフ」
長見さんが大会を通じて印象に残ったと挙げたのは、特定の一手ではなくDAY 6の戦いでした。

大会全体を通して、印象に残っているハンドや場面はありますか?

特定のハンドはYouTubeをご覧頂きたいのですが、印象に残った日はDAY 6で、この日はハンドもボードも壊滅的な日でした。
少ない試行回数の中でとにかく知恵を絞ってコスパの良いスポットでブラフを繰り返してチップを増やす感じでしたね。

工夫できなければ飛んでもおかしくない一日でしたが、バリューハンドが無い日でも最終的にはチップを増やしてDAY 7に突入することができました。
実際に、長見さんはDAY 5終了時の約460万点から、DAY 6終了時には約730万点までスタックを伸ばしています。
強いハンドを待つだけではなく、プレイヤープールや相手ごとの傾向を踏まえてプレイし、チップを増やす機会を作った一日だったといえるでしょう。
カードに恵まれない日をどう乗り切るか。
日本勢のラストロンガーとしてDAY 7まで進んだ背景には、こうした一日を積み重ねてきた判断の質がありました。
過集中を解くために、その日のプレイを話す

長丁場で集中力やメンタルを保つため、意識していたことはありますか?

一日が終わった後に、誰かとその日のことを話す時間が重要だったと感じています。
トーナメント中は過集中の状態で、終了後もアドレナリンが出ているため、たくさん話すんです。

話を聞いてもらったり、アクションについて議論したりできる人がいたことは大きかったですね。
今回はカメラマンのべんべんさんが、その役割を担ってくれました笑
DAY 7で急きょ導入された
ショットクロック

2026年大会では、メインイベント史上初めてDAY 7からショットクロックが導入されました。
【DAY 7で導入された主なルール】
- プリフロップの判断時間:20秒
- ポストフロップの判断時間:各ストリート30秒
- 30秒延長できるタイムエクステンション:1日6枚
DAY 6では、残り1チップの状態で15分以上考え、他のテーブルでの敗退を待とうとする場面が発生。
それを受け、WSOP側は翌日のDAY 7からショットクロックを導入しました。
トーナメント途中での変更だったため、プレイヤーからは賛否の声が上がりました。

実際にプレイし、どのような影響を感じましたか?

着席してから急にアナウンスされたので、戸惑いました。
WSOPメインイベントは一つのハンドに時間を使い、多くの選択肢を検討しながら相手を観察できることが特徴です。

プリフロップ20秒、ポストフロップ30秒という制約では、プレイを簡略化した戦略へ寄せる必要があります。
DAY 6までの戦い方から大きく変える必要があり、最初は切り替えに苦労しました。

一方、短い時間で使う簡略化戦略の精度は、経験や技術の差が出る部分でもあります。
全体としてはプロに有利な面もあるため、良いとも悪いとも言い切れません。
ただし、長いストラクチャーの途中で、事前告知なくルールを変える運用には賛成できません。
ショットクロックに関して、長見さんやWSOP2026で2冠を獲得した木原直哉さんをはじめ、海外プロの反応については以下の記事でまとめています。

WSOPの全ハンドをYouTubeで解説
──GTOとICMを実戦へつなげる
長見さんは、自身のYouTubeにて、トーナメントプレイヤーとしてのVlogや戦略解説を公開しています。
メンバーシップでは、今回のWSOPでプレイした全ハンドを順次解説する予定だそうです。

メンバーシップでは、どのような内容を学べるのでしょうか?

トーナメントを学ぶ方は、GTOの均衡戦略やICMの概念・応用を中心に勉強することが多いと思います。
メンバーシップでは、それらの基礎知識に加え、ライブフィールド全体や個々のプレイヤーに対する推定、そこからの戦略構築まで掘り下げています。

理論を覚えるだけでなく、実戦で使える判断へつなげることを意識した内容です。
とにかくトーナメントで結果を出したい!実戦的な考え方を学びたい!という方に見ていただきたいです。

これまで投稿した動画が全て視聴できるんですね。

はい。
メンバーシップは月額990円で、過去分を含む20本以上の解説動画を視聴できます。
プロの解説動画としては価格破壊レベルに安いです笑
料金や公開本数は変更される場合があるため、登録前に公式ページで最新情報をご確認ください。
GTOとICMとは
GTO(Game Theory Optimal)とは、相手から一方的に攻略されにくい均衡戦略を指します。
ICM(Independent Chip Model)は、トーナメントのチップ量を順位ごとの賞金価値へ換算して考えるモデルです。
入賞直前や賞金差が大きい終盤では、同じチップ期待値の判断でも賞金期待値が異なる場合があります。
次の目標は、メインイベントの
ファイナルテーブル
2024年の21位、2026年の23位と、2度にわたりファイナルテーブルまであと一歩の位置へ進んだ長見さん。
次の目標も明確です。

今回の23位入賞を経て、次に目指す目標を教えてください。

毎年WSOPメインイベントへ参加し、一つでも順位を上げてファイナルテーブルを目指すことです。

明確に、来年以降もメインイベントへ挑戦するという意思があるのですね。
今後、WSOPメインイベントへ挑戦したい日本のプレイヤーへ伝えたいことはありますか?

まずは重い腰をあげてWSOPに出てみてください。打席に立つことが最も重要です。
打席に立ったら、とにかく振り返りと実践のPDCAを回し続ける。
自然と勝てるようになると思います。
まず打席に立ち、そこから振り返りと実践を繰り返す。
少年時代から変わらない姿勢が、そのままWSOPへ挑もうとする人へのメッセージになっていました。
WSOPの開催概要や参加方法は、以下の記事で解説しています。

長見恭輔さんから応援してくれた方々へ

最後に、応援してくれた方々と、今回の活躍で長見さんを知った読者へメッセージをお願いします。

今回も多くのご声援ありがとうございました!
今回はFTに行けず悔しい結果となりましたが、来年以降もまだまだチャンスはあるので、これからもチャレンジしていく予定です。
引き続きどうぞ応援よろしくお願いします!
2024年の21位、2026年の23位。
いずれもファイナルテーブルまであと一歩の位置でした。
それでも長見さんの言葉に悲壮感はなく、「来年以降もまだまだチャンスはある」と、次を見据えたものでした。
悔しさを振り返りへ変えて次へ進む姿勢は、少年時代から変わっていません。
来年以降のWSOPメインイベントで、その積み重ねがどのような順位につながるのかにも注目が集まります。
2度のDAY 7進出で示した
長見恭輔さんの継続力
長見さんの歩みには、少年時代のゲーム、リクルートでの事業開発、そしてプロポーカープレイヤーとしての活動に共通する姿勢がありました。
負けた理由を分析し、学んだことを実戦で試し、再び振り返ることです。
カードに恵まれなかったDAY 6でもチップを増やし、急なルール変更があったDAY 7では戦略を切り替えました。
結果だけでなく、状況に応じて判断を更新し続けた過程は、トーナメントを学ぶプレイヤーにとっても参考になる内容です。
YouTubeで公開される全ハンド解説では、7日間の判断をさらに詳しく確認できます。
気になる方はぜひ、長見さんの公式YouTubeをご覧ください。
長見さんを含む、日本勢のメインイベント戦績は以下の記事にまとめています。



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