【強さの秘訣に迫る】日本最強プレイヤー長見恭輔さんにインタビュー

2024年7月にWSOP Main Eventで歴代日本人最高位の21位を記録し約5,600万円を獲得、その後2024年にトーナメントだけで賞金総額1億円を獲得した最強プレイヤー長見恭輔さんにインタビューいたしました!

  • 1億円チャレンジについて
  • ポーカーの強さについて
  • ポーカープレイヤーとしての考えについて

など幅広く語っていただきました。「ポーカーで強くなりたい」と考える方は必見の内容となっています。

【長見恭輔さん】

WSOP $10,000 Main Event日本人歴代最高位(21位:約5,600万円獲得)

2024年ポーカートーナメントの賞金だけで1億円稼ぐ。

世界中のポーカープロを相手に海外で戦う日本人プロポーカープレイヤー。

1億円達成までの道のりや、ポーカーで勝つために大事なことなどをお伺いいたしますので本日はどうぞよろしくお願いいたします!

長見さん

よろしくお願いいたします。

目次

長見恭輔さんってどんな人?ポーカー歴は?仕事は?

これは全て長見さんのYoutubeチャンネルの動画で語られていますので、まだ見ていない方は下記動画をチェックしましょう。

2024年のトーナメント戦績(12月8日時点)

2024年のトーナメント戦績を教えてください。

長見さん

2024年のトーナメント記録は下記です。

参加トナメ:180
エントリー数:203
インマネ数:48
インマネ率:23.6%
10月末に苦しいダウンスウィングがあったのですが、それがなければインマネ率は30%超えていました。

なんと海外のプロポーカープレイヤーと戦うトーナメントに203回もエントリーしインマネ率23.8%を叩き出していました。(インマネ率はポーカーの実力を測る指標の一つで、一般的に15%を超えると高いとされる。)

そんな長見さんのインマネしたトーナメント一覧は下記です。

1億円チャレンジは”必達目標”でした。

まずは1億円チャレンジに関してお伺いします。
いつこの目標を立てられましたか?

長見さん

WSOPが終わった1,2週間後に今後の人生をどうしていくかを考えてて、プロポーカープレイヤーとしてやっていくことを決めたときにこの目標を立てました。1億円という数字は、必要な利益額とROIから算出しました。

※ROI:投資利益率のことで、投資に対しいくらの利益を得たかを表す。参加費100万円のトーナメントで150万円を獲得した場合のROIは150%

このチャレンジは正直達成できると思っていましたか?

長見さん

この目標は達成できないとそもそもポーカープロとして成り立たないと思ってました、必達目標です。プロポーカープレイヤーというものはレールが敷かれているわけではなく誰でも名乗れるからこそ、この目標を達成できなければ周りから認められることもプロとして続けることもできないと思ってました。

とんでもなく高く思える目標を”必達目標”と捉えていたとは衝撃です…!
チャレンジ中の辛かったことや、どんなメンタル状態だったかを教えてください。

長見さん

辛かったのはダウンスウィングの時期です。ダウンスウィングがくるタイミングが悪く、10月末時点であと270万くらいだったので「来週くらいに達成するだろう」という感覚だったのですが、ダウンスウィングで4週間かかってしまい辛かったです。「もしこのままダウンスウィングが続いて年末まで達成できなかったらどうしよう、有言不実行になってしまう」という思いに駆られました。

ただ目標達成が近いときも遠いときも基本的にはいつも通りプレイすることを意識していました。変にアグレすぎたりパッシブすぎたりなどにならないようにしていて、座学をするルーティンも忘れないようにしていました。
メンタルがプレーに影響しやすいゲームだと思うので、基本的にはメンタルが影響しないように心がけています。

ダウンスウィングがありながらも平常心を保って達成されたんですね!
1億円チャレンジを達成したときはどんな気持ちでしたか?

長見さん

一安心はしましたが、安堵はせずここで満足せずに走り続けようという気持ちになりました。1億円は目標ではあったものの通過点だったので、クリアしたなら次のプロポーカープレイヤーとしての目標達成に気持ちを切り替えないとという考えです。

目標は達成したら終わりではなく次の目標が待ってる、だからこそ成長できると思います。

普段もトナメに優勝をした後も喜びに浸りすぎずすぐ別のトナメに出ます。Red Dragonのメインで7位になったときもすぐ2つのトーナメントに出ました。

ポーカー中は”頭の中でエクセルを作ってる”感覚です

次にポーカーの強さについてお伺いします。
普段はどうやって勉強していますか?

長見さん

主に使ってるツールはGTO Wizardです。プリフロップのレンジはGTO Wizardで学んでいて、全てをその通りにするわけではないですが参考にしています。
バブルファクター、ポジション、スタックによってレンジがかなりかわるので特にこの3つを見ています。

またライブMTTは特殊でエクスプロイトに寄ってるので海外のハイレート動画を見ながら勉強しています。

海外のハイレートプレイヤーのアクションはGTOと離れることもあるので、GTO Wizardと海外の配信を照らし合わせてそのアクションの理由を言語化して自分に落とし込んでいます。

GTO Wizardと海外の動画なんですね。
GTO Wizardを使う前はどのような勉強法だったのですか?

長見さん

ポーカーを始めて5,6年くらいは感覚でプレーしていました。
僕は元々キャッシュプレイヤーで、アメリカ、フィリピン、韓国、カンボジアなどで2-5、5-10くらいをメインにしていましたが、このレート帯は感覚で打つ人も多かったです。
Poker SnowieとPio Solverの存在も知っていたし触ったこともありますが肌に合わなかったので使いませんでした。
ちなみにこのレート帯は今でも感覚の人は多いと思います。海外の人はGTOと相当乖離していることが多いです。

ただたしかに日本人では感覚の人は少ないですが、GTOとエクスプロイトを学ばないと勝てないです。

ご自身の強さの秘訣はなんですか?

長見さん

強さを話す前に、ポーカープレイヤーには上手い人と強い人の2種類いると思ってます。
上手い人はGTOのプレーを再現できる人、強い人は特定の状況下において100%正しい解を出せる人。

上手い人は相当いるだろうし自分は上手いわけではないですが、特定のシチュエーションで他の人があまりしないことを結果論正しくできることが多いのが強みです。
GTOだと100%フォールドと言われる状況でも、相手のハンドと状況を読んだ上でコールしたり、リバーチェックの多い場面で敢えて針の穴を刺すようなバリューをとりに行ったりして勝つのが僕の強さだと思います。

それができるのは、記憶力と整理力によるものだと思っています。
低レートではテルがよく出ます。それを読めればGTOを学ばなくても勝てました。ポーカーは極端な話100%の精度で相手のハンドが読めれば100%勝てるゲームです。その精度が高いのであればGTOより自分の感覚を参考にした方が結果的に得することが多いです。

相手の表情、仕草、サイズのテルを記憶しておけばアクションの偏りがわかり、それらの情報をベースに今のアクションがどっちに寄ってるのかを分類・整理して導き出しています。多くの情報を分類して推定した数値を当て込み、頭の中でエクセルを作ってる感覚です笑

頭の中でエクセルを作ってるんですか!?一度脳内を覗いてみたいです笑
ロングストラクチャーのコツはありますか?

長見さん

ロングストラクチャーで必要なのはミスを極力減らすことです。シンプルにポーカーが上手い人が勝つのがロングストラクチャーです。なぜかというとプリフロオールインになりづらいなどギャンブル要素が排除されてるからです。
ロングストラクチャーでなければプリフロのミスをしなければ基本負けませんが、ロングストラクチャーはポストのミスも影響するのでそのミスを減らすのが大事です。

ミスに気付くためには、負けたスポットだけでなく勝ったスポットもしっかり振り返ることが大事です。
僕もよくハンドについて相談されますが、ポットを落としたときばかり見て、勝ったときを振り返らない人がとても多いです。
勝った時にも振り返ることをしないと、特にオーバーアクションをしたときにミスに気付けません。
僕は勝ってポットを獲得したのに「ミスだったわ」と落ち込んだりします笑
その後にミスしたところのいろいろなパターンを勉強しています。

チップリのときとショートのときは何を意識してプレーしていますか?

長見さん

チップリのときはプレッシャーをかけられるシチュエーションが多くあるのでプレッシャーをかけます。レンジを広くしたりレイズを多くしたりなどですね。
一番大事なのは、プレッシャーをかけられても動じない人かどうかを見極めることです。そういう人は一定数いますし、動じない人だと判断したら無理はしません。

ショートスタックのときは、自分のチップの価値を改めて考え直すようにしてます。8BBしかないからオールインでいいやと思う人が多いですが、果たしてそのチップってオールインする価値があるのかと考えた方が良いです。ショートだからってチップを無駄にしてはいけません。

例えばアベが12BBのFTのバブルラインのとき、そのときの8BBは自分が一番ショートでも価値がものすごく高いです。だんご状態なので他の人にAKが入ったら飛ぶこともある。
自分が無理をしないといけないわけではなく、ブラインドで削られて5.5BBでも一回勝てばアベ以上になる。だから8BBの価値は相当高いです。

一般的に8BBは相当ショートですがターボだと8BBは大きいと思います。
大きいイベントのFTでは生きてることに相当価値があるから8BBにかなり価値があり、ICMやバブルファクターを考えたときに入れない方がいいことが多いと考えています。

MTTのGTOで一番使えるのはそこだと思うので、ICMやバブルファクターを考慮すると「ここまでプッシュレンジを広げなくていいんだ」と判断したりします。

このように、ショートだとしても「本当にそのアクションをすべきなのか」ということを考え直すことを大切にしています。

ここまで戦い方が変わってくるのですね。
トーナメントは運ゲーという意見についてどう思いますか?

長見さん

運ゲーかどうかは、YESでもあるしNOでもあります。単日トーナメントは運だけで勝てることもありますが、複数日トナメは運だけで残れるのはほぼありません。あっても宝くじくらいの強運が必要です。

単日単位やハンド単位で切り取ったときに運要素が出るので運ゲーだと思われがちですが、長期で切り取ったときに運だけでプラスになっている人はいません。WSOPのDay7,8を見ると相当強い人ばかり残っているように、できる限り長い時間戦うトーナメントだと運の要素は相当排除されます。

話は変わりますが、先日ポーカー歴数ヶ月の69歳”ギャンブルドア”が12億稼いでいたので”運があれば勝てる”と思う人も多かったと思いますが、彼は非常にセンスが良くアグレッシブにやっていました。素人がプロに勝つ為に大事なことは”分散”を押し付けることです。ギャンブルドアはプロ相手にアグレッシブなプレイをすることで、大事なところでフォールドエクイティも取っていましたし。

なのでギャンブルドアも運だけで勝ったわけではありません、むしろプロに勝つための戦略として正しいアクションをしていたので”なるべくしてなった”と言っても過言ではないです。

もちろんドローを引くのは運ですが、戦略がしっかりハマった結果の勝利なので、アグレッシブにやり続けたプロセスに対して評価をすべきだと思っています。

ブライアン・ラストとの待ち受け写真を見てモチベーションを上げてます

Brian Rast

ポーカープレイヤーとしての質問に移ります。
ポーカープレイヤーとして辛いこと、過去辛かったことはありますか?

長見さん

つい先月あった”30トナメ連続ノーインマネ”が辛かったです。プリフロオールインが勝てず、アンダードッグにも全部負けました。それだけでなくフロップで強いカードがきたとしても上セットがいたりストレートがいたりと、とにかく下ブレてました。

10トナメ連続はよくあることですが、さすがに30トナメ連続となると落ち込みました。ですがトーナメントに出続けないとダウンスウィングを抜けられないので、「また引かれたよ」と思いつつもトーナメントに出続けるしかないなと思い、スケジュールも変えずトーナメントに出続けてました。

30連続ノーインマネ…聞いただけでぞっとします。
辛いことを乗り越える秘訣はありますか?

長見さん

僕だけの乗り越え方なのですが、ポーカーをしたい気持ちが下がってしまうときは、「ポーカーってなんで好きなんだっけ」と思い出すようにしています。思い出す方法は、トリトンの配信を見たり、好きなプレイヤーの配信を見たりするとそこで気付けることがあり、自分にない引き出しを使ってプレイしているプロの技を見れます。

自分にない新しい戦略を目の当たりにして自分が身につけるのが好きなので、”自分よりすごい人のプレーを自分もやりたい”というのがモチベーションの源泉になり、「まだまだ強くなれる」という感覚になることでダウンスウィングを食らってもモチベーションを取り戻せます。

ブライアン・ラストという超ハイレートプレイヤーがいて彼の動画を何度も見ているのですが、WSOPのDay7で同卓しました。そしてブライアンのほうが先に飛び僕が飛んだ後バーで偶然再開したんです。ハンドについて話した後に一緒に写真を撮ったのですが、尊敬するプレイヤーの一ファンとして嬉しくてスマホの待ち受けにしてます笑

待ち受けを見ると、「ブライアン・ラストみたいになりたいな」と思えてモチベーションが上がります。

自分の実力をどのように認識していますか?

長見さん

自分の実力は発展途上だと思ってます。僕が戦ってるレート帯だと10年20年のプロが多く経験が全然違うので、彼らと比べると引き出しの数は圧倒的に少ないです。
彼らからすると僕の方がROIが出ていませんし、トリトンなどの世界の第一戦で戦えるレベルではないので発展途上だと思ってます。

ポーカープレイヤーの実力を見積もる方法はなんですか?

長見さん

実力の見積もり方でいうと、引き出しの数と大事なとこでの判断力だと思います。海外のハイレートプレイヤーのようにGTOから離れても正しい判断を下せる人は実力があります。

ただしポーカーには麻雀のレーティングみたいな指標がないので、様々なデータを客観視する必要があります。

大事なデータはROIと時給ですが、数千のライブトナメ実績から算出されたそれらの数値で比較するしかないかもしれません。

来年は2億円チャレンジしようと思ってます

動画内で語っていましたが、スポンサーを獲得できる可能性ってあるんですか?

長見さん

広告塔としての価値、応援する価値があればありえると思っています。
まずはメディアを持って露出を増やすこと。
広告を出す側としては広告を出す場所が大事。そこを作りにいってます。
露出が増えれば増えるほど価値が上がると思ってます。

次の賞金額目標はありますか?

長見さん

来年は2億円チャレンジしようと思ってます。今年の1億円チャレンジは7月からの半年間で1億円を達成しています。来年の目標はそれをシンプルに倍にして2億としました。

ですが今年はWSOPのロングランがあっての1億円達成だったので、WSOPレベルのラッキーを2回やらないといけないという相当高い目標だとは思います。

2億円チャレンジを達成するために、来年は世界3大大会(WSOP、EPT、WPT)に継続的に出ようと思ってます。あとはWSOP全日程参加しようと思います。ほぼ毎日トーナメント参加します。

かなり積極的ですね!ホールデム以外はプレーされるんですか?

長見さん

2億円チャレンジはホールデムだけでやりきります。
たしかにPLOなどのMIXゲームはROIは出るのですが、レートが低いので時給も低くなってしまいます。
2025年はホールデムでやり切って、再来年はPLOやMIXにも手を出していくかも知れません。

ホールデムだけなんですね!応援しております!
最後に日本のポーカープレイヤーにメッセージをお願いします。

長見さん

僕が会社をやめてチャレンジしたように誰にでもチャンスがあると思います。
海外渡航を高い壁だとおもわずどんどんチャレンジしていってほしいです。
何をするにも入り口に立つというのは大事だと思います。最初の第一歩を踏み出してほしいです。

本日はインタビューのお時間をいただきありがとうございました!
今後の活躍をお祈りしております。

長見さん

ありがとうございました。

長見さんの海外での様子はYoutubeチャンネルで見れますので、まだチャンネル登録されていない方は下記よりチャンネル登録ください!

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この記事を書いた人

ポーカー歴6年、週3日以上は都内のアミューズメントポーカー店舗に行くほどのポーカー狂。JOPTなどの大会にはほとんど参加しており、海外大会でも優勝し200万円ほどの賞金獲得経験あり。

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