日本最大級のポーカーイベント「Japan Open Poker Tour」、その巨大なイベントの舵取りを担うのが、メインディレクターの竹田さんです。
プレイヤーとして、そして運営の責任者として、彼が何を見つめ、どのような判断を積み重ねてきたのか。読後感として残るのは「JOPTの運営方法」ではなく、一人のディレクターが抱く「強い思想」そのものです。
今回は、JOPTの舞台裏にある「体験の設計」と「現場の哲学」について、竹田さんに詳しくお話を伺いました。
「誰かの人生の栞になるものを作りたい」── プレイヤーから設計者へ

竹田さんは2021年、YouTubeチャンネル「世界のヨコサワ」をきっかけにポーカーを始めました。
当初はプレイヤーとしてリングゲームを中心に活動していましたが、同年11月には「ポーカーイベントの運営」を志し、JOPTへ入社しました。
| 年月 | 経歴・実績 |
| 2021.11 | 11月にJOPTへ入社 |
|---|---|
| 2022.1 | JOPT東京にスタッフとして初参加 現場の熱量に圧倒され、現在の「体験の設計者」としての原点となる |
| 2022〜 | 「SPADIE」「戦国ポーカーツアー」「学生ポーカー選手権 U-30」など、主要イベントの責任者を歴任 |
| 2025.1 | JOPTメインディレクターに就任 |
| 2025.5 | 初指揮の「JOPT 2025 Grand Final」で、アジア最大級の50,000エントリー超を記録 |
現場の圧倒的な熱量に触れた経験が、現在の「体験の設計者」としての活動につながったといいます。
しかし、彼がその数字以上に大切にしているのは、一人ひとりの人生に深く刻まれる「栞」のような体験を作ることでした。
JOPTディレクターという仕事 ──
「体験」の設計者として
竹田さんにとっての「JOPTディレクター」とはどのような役割だと捉えていますか?

一言で言えば「イベントを設計し、記憶を作る人」だと思ってやってきました。

トーナメントリストの構成やスタッフの育成、会場管理など、やるべきことは多岐にわたりますが、その根っこにあるのは「JOPTという場所がどうあるべきか」を定義し続けることです。プレイヤーが会場に入った瞬間から帰るまでの全体験を設計し、それをスタッフ全員で再現可能な状態を目指す。「体験の設計者」という表現がいちばんしっくりきますね。
竹田さんがnoteで掲げていた「人の人生の栞になるものを作る」という言葉は、どのような体験から生まれたのでしょうか。

元々高校・大学とバンドをやっていたことが大きく影響しています。自分たちが演奏する姿や言葉を今でも覚えてくれている人がいる。その時にどういう想いで言葉を紡いでいたかを考えるきっかけがあり、「誰かの記憶に残るものを作りたい」と思ったのがはじまりです。

また、Mrs. GREEN APPLEのライブで大森さんが仰っていた「1人1人の人生が交差して、これだけの人数が集まっていることを僕は忘れません」という言葉を、イベントの度に思い出します。エントリー数は「数字」ですが、そこには1人1人の人生と時間がある。JOPTが、その人の人生の中に「栞」として残ってほしいと思うようになりました。
「いつ来ても出たい」を実現する
シリーズ設計の裏側
イベントのシリーズを構築する際、どのような順番で思考を組み立てているのでしょうか。

まず「プレイヤーにどんな体験をしてほしいか」が先に来ます。その上で、会場規模や卓数といった物理的な制約の中に落とし込んでいきます。制約があるからこそ、何を優先して何を削るかの判断が生まれますし、その判断にディレクターの意志が表れると思っています。
竹田さんが以前「note」書かれていた 「いつ行っても出たいトーナメントがある」という考え方は、JOPTのどの部分に最も表れていると感じていますか。

サイドイベントの幅と密度だと思います。

プレイヤーが「JOPTに行こう」と思う動機は、「自分が行ける日・時間帯に、自分のバンクロールに合ったトーナメントがあるかどうか」だと思っています。


JOPT 2025 Grand Finalでは12日間で50,000エントリーを超えましたが、それはメインイベントだけの数字ではなく、サイドイベントの設計が「いつ来ても出たい」を実現した結果だと捉えています。

逆に、ここまでディレクターの意志を反映させてくれる会社で良かったと思います、トーナメントリストを作るのは難しいですが、できた時・プレイヤーが来てくれた時に一気に報われるので、凄く楽しいですね。
初心者と上級者の両立についてはどうお考えですか?

「参加のハードルを下げる」ことと「競技性を高める」ことを、トーナメントを分けることで両立させています。

New Star Championshipなどの比較的安めのトーナメントも大好評で、「初めてのトーナメントがJOPTだった」という方を増やすことに直接つながっています。まずはJOPTの会場に来ていただき「JOPTを体験してもらう」ことが最優先だと思っているので、このようなトーナメントも積極的に組み込んでいます。

一方で、PlatinumやCrownのように、ストラクチャーを突き詰めた上級者向けの場所もあります。どちらの層に対しても「あなたのための場所がここにある」と伝えることだと思っています。初参加の方向けのトーナメントも、上級者向けのトーナメントも、同じ会場で同じ期間中に存在している。それがJOPTの強みだと思います。

100名規模の現場を支える “現場の哲学”
約100名のスタッフが動く巨大な現場を、どのように束ねているのでしょうか。

最優先事項は「致命的な事案をゼロにする」ことです。小さなミスは起きますが、プレイヤーの信頼を決定的に損なう事案は絶対に防がなければなりません。

そのために重視しているのが「セクション間の連携」です。受付、トーナメント、メディア、それぞれの部署が優秀でも、情報の断絶があれば全体が崩壊します。変更があれば必ず同時に伝える、ログを残す。「言ったつもり」を排除し、全員が仕組みを理解して動ける状態を目指しています。
会場の導線設計も、やはりプレイヤー視点からですか?

そうです。入場から受付、着席、そしてプライズの受け取りまで、「迷わない・待たない・ストレスがない」状態を先に設計して、そこからスタッフの配置を逆算します。プレイヤーが意識しないほど自然に流れる導線が、理想だと思っています。
意思決定の核 ──
「プレイヤー体験を損なわないか」
判断に迷ったとき、最後に立ち返る基準は何ですか。

「プレイヤー体験を損なわないかどうか」が最終的な判断基準です。たとえ技術的に正しくても、プレイヤーが理不尽だと感じてしまえば、その人のJOPTでの体験は台無しになります。ですから、いちばん大事なのはプレイヤーが納得できるかどうか、だと考えています。
竹田さんにとって「良いイベント」の定義とは?

「JOPTでポーカーをしたあの時間が記憶として残る」体験を提供できるイベントです。

勝敗は、正直そこまで重要じゃないと思っています。
でも何年か経ったとき「あの時あのテーブルで誰と一緒にプレイして、こんなハンドがあった」とか「JOPTで初めて会った人と今でも仲がいい」とか、そういうことを居酒屋や店舗で話せたら、そんなに素晴らしいことってなくないですか。

イベントは「勝敗」ではなく「体験」として記憶に残るもの。JOPTがプレイヤーの人生の中で、ポーカーという共通言語を通じて人と出会い、時間を共有した場所として記憶されたら、それ以上のことはありません。
退任と継承 ──
次世代へ託す「JOPTの空気」
退任を控えたいま、あらためてディレクターの役割をどう捉えていますか。

「属人的であってはいけない役割」だと思っています。以前は自分が良いリストを作る「プレイングマネージャー」でしたが、今は「自分がいなくてもチームが自走できるか」を考えています。思想を言語化し、判断基準を文書化してきたのは、次の人が同じ水準で判断できるようにするためです。
次のディレクターへ引き継ぎたい「姿勢」はありますか。

2つあります。1つ目は「プレイヤーの体験価値を最優先にすること」。細部の積み重ねが「JOPTの空気」を作ります。2つ目は「スタッフが楽しく働ける環境を作ること」です。スタッフが楽しんでいない現場で、プレイヤーが楽しめるわけがありません。リスペクトを持って、一緒に良いものを作る。その空気を守ってほしいです。


ちなみにJOPT 2026 Tokyo #01では、JOPTディレクターである宮田さんが給食服を着て餅を作ってスタッフに提供してました。久しぶりに「イベント運営会社」感がありましたね、裏方に、笑。これも、宮田さんが「餅作るか!」と事務所で言い出したのを「絶対やりましょう!いつ餅買いますか!いつですか!」と僕が言いまくった結果、やるしかなくなった宮田さんという構図だったんですが、これも含めて僕の中では引き継いで欲しい流れですね、笑。
これからのJOPTと日本のポーカー業界
これからのJOPTには、どんなことを期待していますか。

「アジア最大級」ではなく、「アジアで最も出たいイベント」になって欲しいです。規模の大きさは今のJOPTの強みですが、それだけでは他のイベントとの差別化ができなくなる時代が来ると思います。国内国外を問わずですね。

プレイヤーが「JOPTだから行く」と思える独自の価値、それはブランド力であり、体験の質であり、コミュニティとしての魅力です。

私が0から100まで全ての調整に関わったJOPT 2026 Tokyo #01のカウントダウンセレモニーも、まさにその「独自の体験」のひとつとして形にしました。多くのプレイヤーの方が「JOPTを選んでくれた」うえで、「JOPTを選んで良かった」と思える体験の提供ができたのかなと思います。


あとは、日本ポーカーの入り口としての役割を引き続きやって欲しいです。「初めてのトーナメントがJOPTだった」という人を増やし続けてほしいですね。

実は現在、JOPTでは規模拡大に伴い、このビジョンを共に実現する仲間を募集しています。支える側としてポーカー界を盛り上げたい方は、ぜひ力を貸してください。
今回お話を伺った竹田氏が過去に手掛けたアジア最大級のポーカーイベント「JOPT Grand Final」は、2026年4月24日に開催が予定されています。
「アジアで最も出たいイベント」を目指し、緻密な体験設計が施されたJOPTの空気感を、実際の会場で体感してみるのも一つの選択肢かもしれません。
ゴールデンウィークの連休を利用して、国内外から集まるプレイヤーと共に、白熱した真剣勝負の世界へ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

JOPT 2026 Grand Final
2026.04.24 – 05.06
@ベルサール高田馬場



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